「また高速道路が値上げされるらしい」
そんなニュースを見て、正直モヤっとした人も多いのではないでしょうか。
しかも気になるのは値上げだけではありません。
「高速道路って、もともと借金を返し終わったら無料になるはずじゃなかった?」
こんな疑問を一度は聞いたことがあると思います。
実際、日本の高速道路は建設当初から“償還が終われば無料化する”という前提でスタートしました。
それなのに現実は、料金は下がるどころか、首都高速をはじめ各地で値上げの話が続いています。
「約束が違うのでは?」
「結局、ずっと払い続けさせられるのでは?」
そう感じてしまうのも無理はありません。
ただ、この問題は単純に道路会社が儲けたいからとか、国が意地悪をしているという話ではないのがややこしいところです。
そこには、日本独特の制度、インフラの老朽化、安全対策、そして交通全体を支えるための仕組みが深く関係しています。
この記事では、
- 首都高速道路の料金改定で、何がどう変わるのか
- なぜ高速道路は今も有料のままなのか
- 無料化が簡単にできない本当の理由
この3点を中心に、できるだけ噛み砕いて解説していきます。
「なんとなく納得できない」を「仕組みを知って理解できた」に変えることが、この記事のゴールです。
ニュースを見てモヤモヤしたまま終わらせず、ぜひ一緒に整理していきましょう🙂
結論:高速道路が値上げされ、無料化されないのは「構造的な理由」がある
先に結論からお伝えします。
高速道路の料金が値上げされる最大の理由は、老朽化した道路を安全に使い続けるための維持管理コストが限界に近づいているからです。
そして、高速道路が無料にならないのは「約束を破っている」からではなく、制度上、無料化できない仕組みが作られてしまったことが大きな原因です。
首都高速道路の料金改定も、単なる値上げではありません。
インフラの寿命、安全対策、物流を止めないための割引制度など、複数の要素が重なった結果として行われます。
また、「借金を返し終えたら無料になる」という考え方自体は、今も建前としては残っています。
しかし現実には、
- 全国の高速道路を一体で支える料金プール制
- 想定を超えて増え続ける補修・更新費用
- 安全対策を怠れない日本特有の地理条件
こうした事情により、無料化のゴールは何度も先送りされてきました。
つまり、今の高速道路は
「無料にするか」「値上げするか」ではなく、「安全を維持するためにどうお金を集めるか」という段階に入っている、というのが実情です。
このあと本文では、
- 首都高速の料金改定で具体的に何が変わるのか
- なぜ値上げせざるを得ないのか
- 無料化すると逆に困る理由
を順番に解説していきます。

ここまで読んで「なるほど、単純な話じゃなさそうだ」と感じた方は、ぜひこのまま読み進めてみてください。
首都高速道路の料金改定は何が変わるのか
まずは、今回話題になっている首都高速道路の料金改定について整理していきましょう。
「値上げされるらしい」という情報だけが先行しがちですが、内容をよく見ると仕組み自体は意外と合理的です。
2026年予定の首都高料金改定の具体内容
2026年10月に予定されている首都高速道路の料金改定では、主に距離あたりの単価と上限料金が見直されます。
ETCを利用した普通車の場合、
- 1kmあたりの加算料金が約3円アップ
- 上限料金が1,950円 → 2,130円へ引き上げ
という内容です。
一見すると「結構上がるな…」と感じるかもしれませんが、首都高の料金はもともと走った距離に応じて決まる仕組みになっています。
現在の首都高速の料金は、
- 最低料金(300円)
- 走行距離 × 車種別単価
- 固定額(150円)
これらを合算し、そこに消費税を加えた金額です。
走行距離が55kmを超えると、上限料金に到達する仕組みになっています。
なぜ「一律値上げ」ではないのか
今回の改定で特徴的なのは、車種ごとに値上げ幅が異なる点です。
軽自動車や二輪車は比較的影響が小さい一方で、
- 普通車
- 大型車
- 特大車
と、車両が大きく・重くなるほど値上げ幅も大きくなります。
これは単なる差別ではなく、道路への負荷が重い車ほど、維持管理コストがかかるという考え方がベースにあります。
橋や高架、路面の傷み方は、どうしても重量の影響を受けやすいからです。
また、首都高はETC利用が前提の料金体系になっているため、今後もETC環境はほぼ必須と言えるでしょう。
ETC未装着だと料金面でも利便性でも不利になるため、まだ導入していない方は早めに準備しておくと安心です。
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次の章では、「そもそも、なぜ値上げしないと成り立たないのか?」という根本的な理由を掘り下げていきます。
高速道路料金が上がらざるを得ない本当の理由
「値上げは仕方ないと言われても、正直まだ納得できない」
そう感じている方も多いと思います。
そこでこの章では、なぜ高速道路料金が「上げたくて上げているわけではない」のか、その内情を整理していきます。
老朽化インフラと維持管理コストの現実
日本の高速道路の多くは、1960〜70年代の高度経済成長期に集中的に建設されました。
つまり今、それらの道路は一斉に高齢化している状態です。
道路は「作って終わり」ではありません。
- 高架橋の補強
- トンネルの補修
- 舗装の打ち替え
- 老朽設備の更新
こうした作業を定期的に行わなければ、安全に走ることはできません。
しかも近年は、
- 人件費の上昇
- 資材価格の高騰
- 豪雨・地震など災害対応の増加
が重なり、維持管理コストは右肩上がりです。
特に日本は地震が多く、トンネルや高架道路には世界的に見ても厳しい耐震基準が求められます。
安全を守るためとはいえ、これは確実にコストを押し上げる要因になります。
物流を支えるための「割引制度」という裏側
もう一つ、あまり知られていないのが物流向けの高速料金割引の存在です。
高速道路では、トラック事業者などを対象に
- 大口・多頻度割引
- 深夜割引
といった制度が設けられています。
特に大口・多頻度割引は、条件を満たせば最大45%もの割引が適用されます。
この割引にかかる費用は、年間で数百億円規模とも言われています。
つまり、高速道路会社は割引による収入減を抱えたまま、道路を維持し続けている状態なのです。
ただし、この割引は決して無駄ではありません。
もし物流コストが大きく上がれば、
- 通販の送料が跳ね上がる
- 店頭価格が上昇する
- 配送スピードが落ちる
といった形で、私たちの生活に直接影響します。
つまり高速道路料金は、「道路を使う人だけの問題」ではなく、社会全体のコスト調整としての側面も持っているのです。

次の章では、多くの人が一番気になっている
「それでも、なぜ高速道路は無料にならないのか?」を、歴史と制度の視点から解説していきます。
なぜ高速道路は無料にならないのか?
ここが、多くの人が一番モヤモヤするポイントだと思います。
「高速道路は、借金を返し終えたら無料になる」
この話、完全なデマではありません。むしろ出発点としては正しかったのです。
本来は「借金完済後に無料化」されるはずだった
日本の高速道路は、建設当初から償還主義という考え方で作られました。
これは、「建設費用を通行料金で回収し、返し終えたら無料にする」という仕組みです。
当時は、
- 経済成長が続く前提
- 交通量は今後も増え続ける
- 維持管理費はそこまで膨らまない
と考えられていました。
しかし、現実は想定通りには進みませんでした。
高速料金プール制が生んだ「終わらない償還」
無料化を遠ざけた最大の要因が、高速料金プール制です。
これは、路線ごとに収支を分けるのではなく、全国の高速道路をひとまとめで管理する制度です。
この仕組みには、明確なメリットがあります。
- 交通量の少ない地方路線でも料金を抑えられる
- 地域格差を最小限にできる
一方で、デメリットも非常に大きいです。
首都圏や都市部の黒字路線で得た収入は、
地方の赤字路線や新規建設路線の返済に回されます。
結果として、「どこかの借金が残っている限り、全体として償還が終わらない」状態が続いてしまうのです。
無料化時期が2115年まで延びた決定的理由
民営化当初、高速道路は2050年ごろの無料化を目標としていました。
しかし、その前提を大きく覆した出来事があります。
2012年に発生した笹子トンネル天井板落下事故です。
この事故をきっかけに、全国のトンネル・高架道路で
- 緊急点検
- 大規模補修
- 構造そのものの見直し
が一斉に行われることになりました。
その結果、安全対策費用は想定を大きく超え、
「このままでは2050年無料化は不可能」と判断されます。
こうして無料化の期限は再延長され、現在は2115年という、かなり遠い将来が設定されています。
つまり高速道路が無料にならないのは、
- 制度的に返済が終わらない構造
- 安全対策を最優先せざるを得ない現実
この2つが重なった、結果だと言えます。

次の章では、「それでも日本の高速道路料金は高すぎるのか?」を、海外との比較も交えながら見ていきます。
日本の高速道路料金は本当に「高すぎる」のか?
ここまで読むと、
「理由は分かった。でもやっぱり日本の高速料金、高くない?」
と感じる方も多いと思います。
この章では、日本の高速道路料金が高く見える理由を、海外との比較と日本特有の事情の2つの視点から整理します。
海外と単純比較できない日本の地理条件
よく引き合いに出されるのが、
- 韓国は高速道路が安い
- 中国は無料区間が多い
- ヨーロッパは距離の割に料金が低い
といった話です。
ただし、ここで注意したいのが「道路が置かれている前提条件」です。
日本は国土の約7割が山地で、
- トンネル
- 高架橋
- 長大橋
を大量に使わないと、高速道路を通すこと自体ができません。
さらに、日本は世界有数の地震多発国です。
マグニチュード6以上の地震の約2割が、日本周辺で発生しているとも言われています。
そのため高速道路には、
- 厳しい耐震基準
- 定期的な補強工事
- 災害時でも使える冗長設計
が求められます。
これらはすべて、建設費だけでなく、維持費を長期的に押し上げる要因です。
単純に「海外より高い=ボッタクリ」とは言い切れない理由が、ここにあります。
無料化すると逆に困るケースもある
もう一つ見落とされがちなのが、無料化による副作用です。
仮に高速道路を完全無料にした場合、
- 自動車利用が一気に増える
- 都市部では慢性的な渋滞が発生する
- 高速道路が「一般道化」する
といった問題が起こる可能性があります。
さらに深刻なのが、鉄道や路線バスへの影響です。
高速道路が無料になれば、
- 中距離移動で車が選ばれやすくなる
- 利用者減で公共交通が赤字化
- 路線廃止・減便が進む
という流れが現実的に起こり得ます。
結果として、車を使えない人ほど移動が不便になるという、逆転現象が起きかねません。
このように、日本の高速道路料金は「高いか・安いか」だけでなく、
交通全体のバランスをどう保つかという視点で設計されています。
なお、交通制度全体の変化については、こちらの記事で詳しく整理しています。

次の章では、こうした値上げ・有料前提の時代に、
私たちドライバーがどう高速道路と付き合うべきかを考えていきます。
値上げ時代の高速道路とどう付き合うべきか
「理由は分かった。でも結局、利用者としては負担が増えるよね」
ここまで読んで、そう感じている方も多いと思います。
確かに、高速道路料金が今後も大きく下がる可能性は高くありません。
だからこそ大切なのは、料金そのものよりも“使い方”で損をしないことです。
料金以上に重要になる「安全性」と「リスク管理」
高速道路は、一般道と比べて
- 走行速度が高い
- 事故時の被害が大きい
- トラブルが起きると逃げ場が少ない
という特徴があります。
値上げされた料金には、「安全に走れる環境を維持するコスト」も含まれています。
だからこそ利用者側も、安全対策を怠らないことが結果的にコスパを高めます。
特に今の高速道路では、
- あおり運転
- 逆走車
- 事故後のトラブル
といったリスクを完全にゼロにはできません。
こうした「もしも」に備える意味で、ドライブレコーダーはほぼ必須装備になりつつあります。
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高速道路特有のリスクについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
情報を制する人ほど、高速道路で損をしにくい
もう一つ、値上げ時代に差が出るのが情報の取り方です。
高速道路では、
- 事故による通行止め
- 工事渋滞
- 突然の天候悪化
といった「予測しづらい事態」が頻繁に起こります。
こうした情報を早く把握できれば、
- 無駄な渋滞を避けられる
- 時間と燃料を節約できる
- 結果的に高速料金の“体感コスト”が下がる
というメリットがあります。
最近は純正ナビだけでなく、スマホナビや外部ディスプレイを活用する人も増えています。
画面が大きく、視認性が高いだけでも、長距離移動の疲労感はかなり変わります。
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次の章では、高速道路料金について特に勘違いされやすいポイントを整理していきます。
よくある誤解・勘違い
高速道路料金の話題は、ニュースやSNSで断片的に語られることが多く、
知らないうちに誤解したまま納得してしまっているケースも少なくありません。
ここでは、特に多い勘違いを整理しておきます。
「高速道路を無料にすれば全部解決する」という誤解
「料金が高いなら、いっそ無料にすればいい」
一見すると、最も分かりやすい解決策に思えます。
しかし実際には、無料化によって
- 交通量が急増する
- 慢性的な渋滞が発生する
- 事故リスクが高まる
といった問題が起こる可能性が高いです。
さらに、無料化後の維持管理費は税金で賄うしかなくなるため、
- 車を使わない人も負担する
- 地方と都市部で不公平が生じる
という別の不満が生まれます。
「値上げは高速道路会社の利益目的」という誤解
値上げのニュースを見ると、「儲けたいだけでは?」と思ってしまいがちです。
しかし、高速道路会社の多くは、
- 国の厳しい監督下にある
- 料金改定には国の認可が必要
- 自由に価格を決められない
という立場にあります。
利益を最大化するというより、赤字を出さずに安全を維持することが最優先です。
「高速料金=税金」だと思っている人が多い
意外と多いのが、高速道路料金を「税金の一種」だと思っているケースです。
実際には、高速料金は利用者が直接支払う対価であり、
ガソリン税や自動車税とは性質が異なります。
この違いを理解していないと、
- なぜ無料化できないのか
- なぜ値上げが必要なのか
といった点が、どうしても腑に落ちにくくなります。
まとめ
今回は、首都高速道路の料金改定をきっかけに、
「なぜ高速道路は値上げされるのか」「なぜ無料にならないのか」という疑問を整理してきました。
ポイントを振り返ると、
- 高速道路の値上げは、老朽化インフラを安全に維持するための現実的な対応
- 無料化が進まないのは、料金プール制という制度と安全対策コストの増大が原因
- 日本の高速料金は高く見えるが、地理条件や災害リスクを考えると単純比較はできない
ということが分かります。
「高速道路は本来タダになるはずだったのに…」と感じる気持ちは自然ですが、
今の日本では無料にすること=必ずしも便利・安全になるわけではないのが実情です。
私自身、車で移動することが多い立場として、値上げは正直つらいです。
それでも、「なぜそうなっているのか」を知ってからは、
ニュースを見たときのモヤモヤが少し減りました。
これからの高速道路は、
「安さ」よりも「安全性」と「効率」をどう使いこなすかが重要な時代に入っています。
仕組みを理解した上で、賢く使う。
それが、これからのドライバーに求められる姿勢なのかもしれません。
参考文献・参考資料
- 首都高速道路株式会社 公式サイト
- 国土交通省|道路行政・高速道路政策
- 高速道路機構(日本高速道路保有・債務返済機構)
- 日本経済新聞|高速道路料金・インフラ関連記事
- 朝日新聞デジタル|笹子トンネル事故・道路老朽化報道
よくある質問
- Q高速道路は将来、本当に無料になる可能性はある?
- A
制度上は「将来無料化する」という建前は残っていますが、
現実的には完全無料化の可能性はかなり低いと言えます。理由は、老朽化対策・災害対応・新たな更新費用が今後も発生し続けるためです。
少なくとも現行制度のままでは、無料化は遠い将来になります。
- Q首都高以外の高速道路も今後値上げされる?
- A
可能性はあります。
首都高に限らず、全国の高速道路で
- 維持管理費の増加
- 交通量の減少
- 老朽化対策の本格化
が進んでいるため、今後も料金見直しが検討される路線は出てくるでしょう。
- Q無料化の社会実験はなぜ定着しなかったの?
- A
過去に行われた無料化社会実験では、
- 渋滞の悪化
- 事故の増加
- 周辺道路への影響
といった問題が確認されました。
「料金を取らない」こと自体は分かりやすい政策ですが、
交通全体のバランスを考えると、継続は難しいと判断されたのが実情です。高速道路は、ただの道ではなく社会インフラそのもの。
その維持には、どうしても現実的なコストがかかります。








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