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メルセデス・BMWも採用!高級車の直4エンジン化はなぜ進むのか徹底解説

車の基礎知識

「あの高級車、最新モデルからエンジンが4気筒になったらしいよ」——そんな話を聞いて、なんだか物足りなさを感じたことはありませんか。

これまで直6やV8といった多気筒エンジンは、高級車の「格」を象徴する存在でした。だからこそ、憧れのブランドが直4を選んだと知ると、グレードが下がったように感じてしまうのも無理はありません。

この記事では、なぜ今、メルセデスやBMWといった高級車ブランドが直4エンジンを採用するようになったのか、その理由を技術面から順番に解説していきます。読み終える頃には、直4化の背景にある考え方がしっかり見えてくるはずです。


なぜ高級車に直4エンジンが増えているのか

結論からお伝えすると、高級車の直4化は「コストを削って質を落とした」わけではなく、いくつかの合理的な理由が重なった結果なんです。

大きな要因は主に2つあります。ひとつは、エンジンの部品を効率よく共有できる「モジュラー設計」という考え方が広がってきたこと。もうひとつは、世界的に強まっている環境規制への対応です。

実際、メルセデス・ベンツの「Eクラス」やBMWの「5シリーズ」、トヨタの「クラウン」といったフラッグシップクラスのモデルでも、2.0リットル前後の直列4気筒ターボエンジンが採用されるようになってきました。かつては直6やV8が当たり前だったクラスだけに、この変化は業界内でも大きな話題になっています。

ただし、直4になったからといって、単純にパワーや上質さが失われたわけではありません。過給技術や電動アシストの進化によって、むしろ従来の多気筒エンジンに匹敵する、あるいは上回る性能を実現しているケースも増えています。

ここから、この「なぜ」を支える技術的な背景を、ひとつずつ具体的に見ていきますね。




直4化のカギはモジュラー設計にあり

高級車が直4エンジンを選ぶようになった理由のひとつが、「モジュラー設計」という開発の考え方です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、仕組み自体はそれほど難しくありません。

モジュラー設計とは、1気筒あたりの排気量を基準として決め、そこから直列3気筒・直列4気筒・直列6気筒といった複数のエンジンを、共通の部品を使って作り分ける方法のことです。たとえばBMWは、こうした考え方をもとにしたエンジン群を展開していることで知られています。

ピストンやシリンダーヘッドといった主要部品を気筒数の違うエンジン同士で使い回せると、開発や生産の手間を減らしやすくなります。工場のラインも共通化しやすくなるため、世界各地での生産体制を整えやすいというメリットも生まれます。

もちろん、こうした効率化がどれくらいのコスト削減につながっているかは、メーカーが公表していない部分も多く、はっきりした数字までは分かりません。それでも、「気筒数の違うエンジンを一から個別に開発するより、部品を共有できたほうが合理的」という発想そのものは、多くのメーカーに共通する考え方になってきています。

つまり直4エンジンは、単体で選ばれているというより、こうした設計思想の中で自然に導き出された構成のひとつだと考えると、理解しやすいかもしれません。




直4でも高性能を実現する4つの技術

「排気量を小さくしたら、パワーも落ちるのでは」と思う方も多いはずです。ですが実際には、いくつかの技術を組み合わせることで、直4エンジンでも従来の多気筒エンジンに引けを取らない性能を引き出せるようになっています。ここでは、その代表的な4つの技術を順番に見ていきましょう。

電動ターボによる過給

まず欠かせないのが、ターボチャージャーによる過給です。ターボは排気ガスの力でタービンを回し、より多くの空気をエンジンに送り込むことで出力を高める仕組みですが、従来型には弱点もありました。アクセルを踏んでから実際に加速するまでに、わずかなタイムラグが生じてしまう「ターボラグ」です。

この課題を解決するために登場したのが、電気モーターの力でタービンを直接回す「電動ターボ」です。48Vの電気システムを使い、排気の勢いが十分でない低回転域でもタービンを素早く回せるため、ターボラグを感じにくくなっています。もともとF1の技術がベースになっている点も特徴のひとつです。

ダウンサイジングターボの仕組みそのものをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

高圧直噴による燃焼効率の最大化

次に重要なのが、燃料をシリンダー内に直接噴射する「直噴」という技術です。空気を吸い込んだあとに高い圧力で燃料を噴射することで、気化する際の熱を利用してシリンダー内の温度をコントロールできます。

この仕組みにより、圧縮比を高めても異常燃焼が起きにくくなり、限られた排気量でも燃焼効率を最大限まで引き出せるようになっています。小さなエンジンで大きな力を生み出すためには、欠かせない技術のひとつです。

48Vモーターアシストによるトルク補完

3つ目は、モーターの力でエンジンを後押しする仕組みです。48Vのマイルドハイブリッドシステムや、発電と始動を兼ねる「ISG」と呼ばれるモーターをエンジンに組み合わせることで、発進時などターボの過給が立ち上がりきる前の低回転域を、モーターの瞬発力でカバーします。

この補完があることで、体感としての「もたつき」がかなり抑えられ、大排気量エンジンに近い力強さを感じやすくなります。

多段トランスミッションによる回転数最適化

最後は、変速機側の工夫です。8速や9速、あるいはそれ以上の多段オートマチックトランスミッションを組み合わせることで、ギアとギアの間の段差を小さくできます。

その結果、エンジンは常に効率のよい回転数を保ちやすくなり、加速時の滑らかさや燃費の両立につながっています。

これら4つの技術を組み合わせた分かりやすい例が、メルセデスAMGの「C43」に搭載されているM139型エンジンです。2.0リットルの直列4気筒でありながら、最高出力408馬力・最大トルク500N・mというスペックを実現しています。

かつてV型6気筒が担っていた領域に、直4エンジンが手が届くようになってきていることがよく分かる一例です。




直4は「安っぽい」?質感を左右する判断基準

技術的な仕組みが分かっても、「やっぱり4気筒って安っぽく感じそう」という気持ちが残る方もいるかもしれません。この違和感自体は自然なものですが、実は同じ直4エンジンでも、高級車にふさわしい質感を持つものと、そうでないものには違いがあります。ここでは、その見分け方を整理してみましょう。

手組みエンジンか、量産エンジンか

まず注目したいのが、エンジンの組み立て方です。一般的なエンジンは生産ラインで自動的に組み立てられますが、一部の高性能モデルでは、熟練の技術者が1基を1人で最初から最後まで組み上げる「手組み」という方式が採られています。

先ほど紹介したM139型エンジンも、ドイツのアファルターバッハ工場で熟練の技術者が手作業で組み上げる方式を採用しています。同じ「直4」という表記でも、こうした背景にある製造工程はまったく別物だと考えてよいでしょう。

NVH対策が施されているか

もうひとつの判断基準が、「NVH対策」と呼ばれる振動・騒音を抑える工夫がどこまで施されているかです。一般的に気筒数が少ないエンジンほど振動が出やすい傾向にありますが、高級車向けのエンジンでは、バランサーシャフトや防振マウントといった部品を使って、この振動を丁寧に抑え込んでいます。

逆に言えば、こうした対策が十分でないエンジンでは、直4特有の振動を感じやすくなることもあります。試乗する機会があれば、アイドリング時や低速域での振動の伝わり方を意識して確かめてみると、違いを実感しやすいはずです。

48Vアシストの有無

3つ目は、これまでに紹介した48Vモーターアシストが搭載されているかどうかです。モーターの補助がある分だけ、発進や加速時のもたつきが少なくなり、結果として「重厚感」に近い滑らかな加速フィールにつながります。

ここまでの3つの視点を踏まえると、直4エンジンに対する見方も少し変わってくるのではないでしょうか。

ワンポイント
同じ「直4」という表記でも、手組みかどうか、NVH対策やモーターアシストがあるかどうかで、体感できる質感には大きな差が生まれます。カタログのスペック表記だけでなく、こうした背景まで見てみると、直4エンジンへの印象が変わってくるかもしれません。

気筒数だけでなく、エンジン全体の性能をどう評価すればよいのか気になる方は、こちらの記事も参考になります。




直6復活組がいるのはなぜ?直4化との違い

ここまで直4化が進む理由を見てきましたが、実は近年、あえて直列6気筒エンジンを新たに開発し直しているメーカーも存在します。一見すると矛盾しているように感じるかもしれませんが、この2つの動きは、実はまったく別の狙いから生まれたものなんです。

代表的な例が、マツダの「e-SKYACTIV G 3.3」です。これまで直6といえば高級セダン向けというイメージが強かった中、マツダはこのエンジンをSUVにも搭載し、滑らかな乗り心地を実現しました。また、ステランティスの「Hurricane」も、従来のV型8気筒エンジン「HEMI」に代わる存在として、500馬力を超える力強さを持つ直6エンジンとして開発されています。

こうした直6復活の背景にあるのは、「電気自動車へ完全に移行するには、まだしばらく時間がかかる」という各メーカーの判断です。その移行期間の中で、ユーザーが求める振動の少ない上質な走りと、大排気量エンジンに匹敵するパワーを両立できる方法として、直6が選ばれているという見方があります。

つまり、直4化と直6復活は、どちらも「今の環境規制や技術水準の中で、いかに高級車らしい質感とパワーを両立するか」という同じ課題に対する、異なるアプローチだと考えると分かりやすいでしょう。直4化の流れが失速して直6に戻っているわけではなく、モデルの性格やブランドの狙いによって、使い分けが進んでいるという状況です。

直6復活の背景をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。




V8・V6が今も残るのはどんなモデルか

ここまで見てきたように、直4化や直6復活が進む一方で、V型8気筒やV型6気筒といったエンジンをあえて残しているモデルも存在します。ここでは、どういったモデルにこの傾向が見られるのか、その境界線を整理してみましょう。

多気筒エンジンが残りやすいのは、主に次のようなモデルです。

  • ブランドを象徴するフラッグシップクラスのモデル
  • サーキット走行やハイパフォーマンスを重視するスポーツグレード
  • 大型SUVなど、もともと大きな力を必要とする車種

たとえば、メルセデスAMGの「Sクラス」やBMWの「Mモデル」といった一部のハイパフォーマンスモデルには、今なおV型6気筒やV型8気筒エンジンが採用されています。これらのモデルにおいて多気筒エンジンが残されている理由は、単純な出力性能だけではありません。

多気筒ならではの滑らかな回転フィールや、独特のエンジンサウンドそのものが、そのブランドの個性や存在価値として大切にされているケースが多いんです。効率だけを追い求めるのであれば直4化してしまう選択肢もある中、あえて多気筒を残すことは、走りの質感やブランドイメージを守るための判断だと言えます。

つまり、直4化が進むボリュームゾーンのモデルと、ブランドの象徴として多気筒を守り続けるフラッグシップやスポーツグレードとでは、そもそも求められている役割が異なるということです。

今後、新しい高級車を選ぶ際には、「そのモデルがブランドの中でどういう位置づけなのか」という視点を持つと、エンジン形式の違いにも納得しやすくなるはずです。




まとめ

高級車の直4化は、コストを削るための妥協ではなく、モジュラー設計や環境規制、そして過給・直噴・電動アシストといった技術の進化が重なって生まれた、ひとつの合理的な選択だと言えます。同じ「直4」という表記でも、手組みかどうか、NVH対策やモーターアシストの有無によって、体感できる質感には大きな違いがあります。

これから高級車を検討する際には、気筒数だけで判断するのではなく、そのモデルがブランドの中でどんな位置づけにあるのか、どんな技術が組み合わされているのかにも目を向けてみてください。

エンジン形式の違いを、単なるスペックではなく「そのモデルらしさ」を知る手がかりとして見てみると、これまでとは違った視点で車選びを楽しめるはずです。


よくある質問

Q
高級車の直4エンジン化は今後も続くのでしょうか?
A
モジュラー設計や環境規制といった構造的な要因は今後も続く見込みのため、直4化の流れそのものはしばらく続く可能性が高いと考えられます。ただし、直6復活の例のように、ブランドの戦略や車種の位置づけによっては多気筒エンジンがあえて選ばれるケースもあるため、すべてのモデルが一律に直4化していくとは限りません。
Q
直4エンジン搭載車でも振動や音を強く感じることはありますか?
A
NVH対策や48Vモーターアシストがしっかり施されているモデルであれば、振動や音は感じにくくなっています。ただし、こうした対策が控えめな量産グレードや、比較的古い世代のエンジンでは、直4特有の振動をある程度体感しやすいこともあるため、試乗時にアイドリング時や低速走行時の感触を確かめてみることをおすすめします。
Q
直4化によって高級車のメンテナンス費用は安くなりますか?
A
エンジンの部品点数が減る分、整備のしやすさにつながる面はあります。ただし電動ターボや48Vシステムなど新しい技術要素が増えている場合も多く、一概に費用が安くなるとは言い切れません。実際の費用感は、モデルごとの装備内容や整備プランによって変わってくるため、購入前にディーラーへ確認しておくと安心です。

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