【はじめに】|OHVって古いのに、なんでアメ車は今も使ってるの?
「OHVって、もう時代遅れのエンジン方式なんじゃないの?」
そんなふうに思ったこと、ありませんか?
実際、日本車や欧州車ではすでに主流ではなくなっていて、多くの車はDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)を採用しています。にもかかわらず、アメリカの車、特にシボレーのコルベットやダッジのバイパーといった“筋金入りのアメ車”たちは、今もなおOHVを搭載しているんです。
なぜ古く見える技術を、アメリカではいまだに大事にしているのでしょうか?
この記事では、そんな**「OHV(オーバーヘッドバルブ)エンジン」**について、わかりやすく解説していきます。
- OHVってどんな構造なのか?
- どんなメリット・デメリットがあるのか?
- なぜアメリカでは今も支持されているのか?
このあたりを、車の知識があまりない方でも理解できるように、イラスト付きでやさしく解説していきます。
読み終える頃には、きっとアメ車好きじゃなくても「なるほど、OHVってアメリカにピッタリなんだな」と感じられるはずですよ!
それでは、まずはOHVってどんなエンジン方式なのか、基本から見ていきましょう。
1. OHVエンジンとは?その構造をやさしく解説
まず「OHV」って何の略かというと、**Over Head Valve(オーバーヘッドバルブ)**の頭文字を取ったもの。日本語では「頭上にバルブがある」って意味ですね。
でも、バルブが上にあるのは現代の多くのエンジンも同じなのに、なんでわざわざ名前にするの?と思った方もいるかもしれません。実はこの「OHV」というのは、もっと古いSV(サイドバルブ)方式から進化した構造を指していて、その歴史が関係しているんです。
◆バルブの役割って何?
車のエンジンは、ガソリンと空気を吸い込んで爆発させ、その力でピストンを動かして走る仕組み。
そのとき、シリンダー(燃焼室)に空気を入れたり、燃焼後のガスを外に出したりするための「フタ」が必要になります。
この“フタ”がバルブ。吸気バルブと排気バルブがあり、それぞれの開け閉めが超重要。
◆OHVはどうやってバルブを動かすの?
ここがOHVの特徴です。
- カムシャフトというバルブを押すための棒は、エンジンの下のほう、クランクシャフトの近くにあります。
- このカムシャフトの動きは、プッシュロッドと呼ばれる細長い棒を通じて、ロッカーアームというてこのようなパーツに伝わります。
- ロッカーアームがシーソーのように動いて、バルブを開け閉めする仕組みなんです。
つまり、カムが下にあって、上にあるバルブを棒で押して動かすというのがOHVエンジンの最大の特徴なんです。
◆OHC(SOHC・DOHC)との違いは?
現代の車に多いSOHCやDOHCは、カムシャフトがエンジンのヘッド(上部)に直接配置されています。なので、プッシュロッドを使わず、カムが直接バルブを動かすため、高回転でも制御しやすいんです。
一方、OHVはプッシュロッドを介しているので構造がシンプルで頑丈だけど、高回転にはあまり向いていないという特徴があります。

次は、そんなOHVが持つメリットとデメリットを、もっと詳しく解説していきましょう!
「古くて時代遅れ」と思われがちなOHVですが、実は今でも選ばれる理由があるんです。
2. OHVのメリットとデメリット
OHVは一見すると「昔ながらの古いエンジン方式」という印象が強いかもしれません。でも実は、現代でも一部の車種やエンジンに使われ続けているのには、明確な理由があります。
ここでは、OHVエンジンの**メリット(良いところ)とデメリット(弱点)**を、わかりやすく紹介していきます!
◆OHVのメリット|なぜ今でも使われているの?
✅ 1. コンパクトで低重心
OHVはカムシャフトが下にあるぶん、エンジンの上部(シリンダーヘッド周り)がシンプルで高さを抑えられます。
特にV型エンジンとの相性がよく、エンジン全体をコンパクトに設計できるため、スポーツカーやピックアップトラックにピッタリ。
また、重いパーツが下側に集まっているので重心も低くなり、走行安定性にも貢献します。
✅ 2. 軽量かつコストが安い
部品点数が少なく、複雑な可動パーツが少ないため、製造コストが抑えられます。
結果として、車両本体価格にも反映されやすく、メーカー側にとっても大きなメリット。
しかも部品が少ないということは、エンジン自体も軽いということ。特に昔ながらの大排気量エンジンを採用するアメリカ車にとっては、この「安くて軽い」はかなり魅力的な要素なんです。
✅ 3. 整備性が抜群
OHVは構造がシンプルなので、メンテナンスや修理がしやすいのも大きな強み。
プッシュロッドやロッカーアームなども比較的取り外しやすく、工具と知識があればDIYでの整備も可能です。
アメリカのように、広い国土で整備工場が近くにない場所では「自分で直せる」「壊れにくい」というのは非常に重要なポイントです。
✅ 4. とにかく頑丈
シンプルな構造は、信頼性の高さにもつながります。
シリンダーブロックやバルブ周りがしっかりしていて、チューニングにも強く、NOS(ナイトロ)や大型ターボにも耐えられるエンジンとして重宝されています。
実際に、アメリカのドラッグレースやストリートカーでは、OHVの「ビッグブロック」エンジンが今も現役で活躍中です。
◆OHVのデメリット|なぜ主流じゃなくなったの?
❌ 1. 高回転が苦手
一番の弱点はココ。
プッシュロッドを介してバルブを動かす構造なので、回転数が上がると動きが追いつかなくなりがちです。
また、ロッド自体の重さや熱膨張によって、バルブタイミングのズレも発生しやすく、高回転域での精密な制御が難しいのが現実。
そのため、回転数でパワーを稼ぐ必要がある日本やヨーロッパでは、より高回転対応のOHC方式が主流になっています。
❌ 2. 可変バルブ機構との相性が悪い
現代のDOHCエンジンでは、吸気と排気のタイミングを自由に制御できる「可変バルブタイミング機構」が当たり前ですが、OHVはカムシャフトが1本で吸排気両方を動かしているため、これがとても難しい。
技術的に改良された例もありますが、コスト面・設計面での不利は否めません。
❌ 3. 音や振動が大きい
プッシュロッドが高速で動き続けるため、機械的な音が出やすく、振動も増えやすい傾向にあります。
現代の静粛性を重視する車づくりとは、少し方向性が異なる部分ですね。

このように、OHVには「古いからダメ」というわけではなく、シンプルだからこそ活きるシーンがあるというのがポイント。
そして、その「活きるシーン」の代表が…そう、アメリカなんです!
3. アメ車がOHVを使い続ける理由とは?
今や世界中のほとんどの乗用車がDOHC化している中で、アメリカの車だけは今もなおOHVを使い続けている。これは一体なぜなのでしょうか?
「古い技術を使い続けている=技術が遅れている」と思ってしまいがちですが、実はアメリカでは、合理的な理由と文化的な背景が重なって、OHVが現役で活躍しているのです。
◆理由1:税制が違う!排気量が不利にならない
日本やヨーロッパでは、排気量が大きいとそれだけで自動車税が高くなります。そのため、少ない排気量でも高出力を出せるよう、高回転型のDOHC+ターボといった技術が発展してきました。
しかしアメリカは違います。
✔ 年間の車両登録費用(いわゆる税金)は、排気量に関係なく安価
✔ 多くの州では、一律で数千円〜1万5千円程度しかかからない
つまり、**「排気量がデカくても全然OK」**という環境なんです。
これなら、わざわざ高回転で絞り出さなくても、6L超えの大排気量でトルクもパワーも楽に出せるというわけです。
◆理由2:広大な国土と直線道路が多い
アメリカはご存じの通り、国土が広く、道路もとにかくまっすぐ長い!
日本のように山道や急カーブを頻繁に走るような場面は少なく、長距離を一定速度で巡航する走り方が基本です。
このような使われ方では、高回転エンジンよりも、
- 低回転から分厚いトルクが出るOHV
- シンプルで信頼性の高いエンジン
のほうが圧倒的に実用的。
トラックやSUVが多いアメリカ市場では、まさにOHVが求められているエンジン特性そのものなんです。
◆理由3:整備性と信頼性の高さ
広大なアメリカでは、すぐ近くにディーラーや整備工場があるとは限りません。
そこで重要なのが、自分でいじれるかどうか、そして壊れにくいかどうか。
OHVエンジンは、
- 部品が少ない
- 構造が単純
- 工具があれば整備できる
という3拍子揃った「田舎でも頼れる相棒」のような存在です。
ピックアップトラックなどの働く車にもピッタリですね。
◆理由4:文化と伝統の象徴
アメ車にとってOHVは、単なるエンジン形式ではなく「文化」そのもの。
たとえば、シボレー・コルベットには一時期DOHCが使われたこともありましたが、ユーザーの間では「やっぱりV8 OHVじゃないとコルベットじゃない!」という声が強く、のちに再びOHVに戻ったほどです。
さらに、アメリカ最大のカーレース「NASCAR(ナスカー)」では、今もレギュレーションでOHVが指定されています。
この70年以上の歴史の中で、OHVエンジンはレース用としても進化を続けてきたのです。
※ちなみにNASCAR用OHVは市販車では不可能な1万回転近くまで回るモンスターマシンですが、これはあくまでレース専用。市販車とは別物です。
◆理由5:ただし、最近は変化も…
最近では、アメリカでも環境規制の強化や物価高の影響で、OHVの自然吸気エンジンからDOHC+ターボやハイブリッド化へ移行する動きが見られます。
例えば、あの超定番ピックアップトラック「フォード・F-150」も、
かつてはOHVのV8でしたが、現在ではDOHCのV6ターボが主力となりつつあります。

つまり、OHV=アメリカの象徴という時代も、少しずつ変わり始めているのです。
4. 今後OHVはどうなる?電動化の中で生き残る可能性も?
自動車業界は今、100年に一度の大変革期とも言われる「電動化」の波の中にあります。
ガソリン車は減り、EV(電気自動車)やハイブリッド車がどんどん増えているのは、街を見れば一目瞭然ですよね。
そんな中で、「古き良き内燃機関」とも言えるOHVエンジンは今後どうなるのか?
ここでは、その未来について少し先取りして考えてみましょう。
◆主役の座はDOHC+ハイブリッドへ
すでに世界的には、乗用車のエンジンはほぼDOHC+ダウンサイジングターボ or ハイブリッドが主流です。
小さい排気量で高出力を出せて、燃費もよく、環境性能にも優れている。これが世界のトレンドです。
また、可変バルブタイミングや直噴技術との相性も良いため、高性能エンジンはDOHCが当たり前になっています。
◆OHVは「絶滅」するのか?
ではOHVは淘汰されて消えてしまうのか?
…いいえ、そうとも限りません。
実は、OHVには今も強いニーズがある分野がいくつか存在します。
◆生き残りの鍵は「用途の違い」
たとえば以下のようなシーンでは、OHVの特徴が今でも大活躍です:
| 用途 | なぜOHVが使われる? |
|---|---|
| 農機・建機・発電機 | シンプルで壊れにくく、整備が簡単 |
| バギー・小型トラック | コンパクトで軽量、コストも安い |
| トラック(商用) | 高回転より低速トルク重視、耐久性が重要 |
| 寒冷地や過酷な環境 | 複雑な電子制御よりもアナログな構造が有利 |
つまり、「ちょっと古くても、シンプルで強い」というOHVの強みは、
最新技術よりも実用性・信頼性が優先されるシーンでは今も唯一無二の存在なんです。
◆内燃機関が生き残るなら、OHVも残る
将来的に、乗用車の多くがEVになるのは間違いないでしょう。
でも、すべての機械が電動化されるわけではありません。
とくに過酷な環境やインフラが未整備な地域では、電気よりガソリンエンジンの方が実用的。
そして、そうした場所で求められるのは、まさにOHVのようなタフで信頼性の高いエンジンです。

実際に、「最後まで残る内燃機関はOHVかもしれない」という声もあるほどなんです。
5. まとめ|OHVは「古くて遅れてる」じゃない!
ここまで読み進めていただき、ありがとうございます!
OHV(オーバーヘッドバルブ)エンジンについて、構造からメリット・デメリット、そしてアメリカで今も愛され続ける理由や将来性まで、一通りお伝えしました。
あらためて振り返ると、OHVにはこんな特徴がありました:
✅ OHVのポイントまとめ
- シンプルで頑丈な構造が魅力!
- 低重心・軽量・整備性が高いため、働く車やスポーツカーに向いている
- 高回転や可変バルブには不向きという弱点はあるが、大排気量+低回転トルク重視の用途に最適
- アメリカの道路事情・文化・税制にピッタリ合っている
- 電動化の流れが加速する中でも、特殊用途や発電機・建機などで生き残る可能性が高い
OHVは、ただ古いから使われているわけではありません。
**「必要だから、合理的だから、選ばれている」**というのが本当の理由です。
今後、世界の車がどんどん電動化していくとしても、
OHVのような“信頼できるシンプルな機械”が必要とされる現場は、必ず残るはず。
古いけど、強い。
派手じゃないけど、信頼できる。
そんなOHVの魅力に、少しでも「なるほど!」と思っていただけたら嬉しいです!
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よくある質問
- QOHVってもう古いだけの技術じゃないの?
- A
いいえ、決してそうとは限りません。
OHVは確かに古くから使われている方式ですが、今も「必要だから」使われている技術です。
構造がシンプルで壊れにくく、整備もしやすいことから、働く車やアメリカの大排気量車には理想的なんです。
- QDOHCと比べて性能が低いってこと?
- A
単純に「性能が劣る」とは言えません。
確かに高回転型のエンジンではDOHCが有利ですが、OHVは低回転から力強いトルクを出せるという特長があります。
アメリカのように広い道路でクルーズする車には、OHVのトルク特性がぴったりです。
- Q今後はもうOHVエンジンの新車は買えなくなるの?
- A
そうとは限りません。
近年はEV化の流れが加速していますが、商用車・特殊車両・建機・農機などでは、まだまだOHVが主流です。
また、一部のアメ車や旧車系のモデルでは、今後もOHVを使い続ける可能性があります。
エンジンが必要とされる限り、OHVも完全には消えないでしょう。






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