「このカスタム、車検に通るのかな…」そんな不安を抱えながらパーツを選んでいませんか。車高を少し下げたい、マフラーを交換したい、そう思ったときに気になるのが「違法改造にならないか」という点ですよね。
実は、車の改造には明確な合法ラインが存在していて、それを知らずに手を加えてしまうと、思わぬ罰則の対象になってしまうこともあります。この記事では、どんな改造が車検NGにあたるのか、その基準がどんな法律にもとづいているのかを一緒に見ていきます。
車検NGの改造とは?知っておきたい罰則の基準
結論からお伝えすると、車検NGになる改造とは「保安基準」という国が定めた技術基準を満たさなくなった状態のことを指します。かっこよさや好みでパーツを選ぶ前に、この基準がどんなものなのか知っておくと安心ですよ。
この保安基準に適合しない改造は「不正改造」と呼ばれ、道路運送車両法という法律で明確に禁止されています。スピード違反のように「うっかりやってしまった」で済む話ではなく、改造そのものが法律違反として扱われる点がポイントです。
不正改造を行った場合、道路運送車両法第99条の2にもとづき、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに、改造によって保安基準に適合しなくなった車には、国から「整備命令」が出されることがあります。この命令に従わずに車を使い続けると、車の使用停止命令や50万円以下の罰金という、より重い対応につながる場合もあるので注意しておきたいところです。
ここで一つ、勘違いしやすいポイントがあります。それは「違法改造も、スピード違反みたいに違反点数や反則金で済むのでは」という誤解です。実際には、違反点数・反則金は道路交通法にもとづく運転行為への処分であり、不正改造は道路運送車両法にもとづく別の枠組みで扱われます。管轄している法律自体が違うので、車を運転する上での「うっかりミス」とは切り離して考える必要があるんですね。
つまり、これから紹介していく判断基準はシンプルで、そのパーツや状態が保安基準に適合しているかどうか、この一点に尽きます。

次の章から、パーツごとに具体的な合法ラインを見ていきましょう。
【パーツ別・年式別】車検NGの合法ライン一覧
ここからは、実際にどのパーツがどこまで改造してよいのか、具体的な基準を見ていきます。同じパーツでも車を作った年式によって基準が変わることがあるので、自分の車の年式も確認しながら読み進めてみてくださいね。
外装サイズ・重量の許容範囲
車のボディサイズや重量は、購入したときの状態から大きく変えてしまうと保安基準から外れてしまいます。エアロパーツの装着やホイールの変更などで、知らないうちにサイズが変わっていることもあるので、まずは許容範囲を押さえておきましょう。
| 項目 | 許容範囲 |
|---|---|
| 全長 | ±3cm以内 |
| 全幅 | ±2cm以内 |
| 全高 | ±4cm以内 |
| 車両重量(軽自動車) | ±20kg以内 |
| 車両重量(小型・普通車) | ±50kg以内 |
| 車両重量(3ナンバー車) | ±100kg以内 |
この範囲を超える変更をしたい場合は、後ほど紹介する「構造変更申請」という手続きが必要になります。まずは自分の車がどれくらい変化しているか、大まかにでも把握しておくと安心です。
タイヤ・ホイールのはみ出し基準
タイヤやホイールがボディの外にはみ出している状態は、基本的には保安基準に適合しません。ただし、条件によっては例外が認められるケースもあります。
- ホイールのディスク面やナットのはみ出しは一切認められない
- 2017年6月以降に型式指定を受けた9人乗り以下の乗用車に限り、タイヤのゴム部分のみ10mm未満のはみ出しが許容される
「タイヤなら多少はみ出しても大丈夫」と思われがちですが、この例外はあくまで年式と車種の条件を満たした場合に限られます。タイヤサイズの選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
ヘッドライト・ウインカーの色と点滅回数
灯火類は、色や光り方まで細かくルールが決められています。とくにヘッドライトの色は、車が作られた時期によって扱いが変わる点に注意が必要です。
- 2005年12月31日以前に製作された車は、ヘッドライトが白色・淡黄色でも認められる
- 2006年1月1日以降に製作された車は、ヘッドライトは白色のみとなる
- ウインカーの色は橙色で、点滅回数は毎分60回以上120回以下の範囲内であること
ヘッドライトの検査については、車検の合否を分けやすいポイントでもあります。より詳しい検査基準はこちらの記事でまとめています。
最低地上高とマフラーの騒音規制
車高を下げるカスタムは人気がありますが、地面と車体の距離が近づきすぎると保安基準から外れてしまいます。あわせて、マフラーの音量にも明確な基準があります。
- 車体の最も低い部分と地面との距離は、原則として9cm以上必要
- 2010年4月以降に製作された車は、より厳しい騒音規制が適用される
- マフラーには「JASMA認定」などの性能等確認済を示す認証プレートが必須
- 取り外しが簡単なインナーサイレンサーの使用は認められない
マフラー交換は音や見た目だけでなく走行性能にも関わる部分です。交換による影響が気になる方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
窓ガラスの可視光線透過率
フロントガラスや運転席・助手席側面のガラスは、視界の確保のために透明度の基準が設けられています。フィルムを貼る際は、この基準を超えないよう注意が必要です。
- フロントガラス、運転席・助手席側面のガラスは、フィルムを貼った状態で可視光線透過率70%以上が必要
- 視界を妨げる吸盤式のスマートフォンホルダーをフロントガラスに装着することも禁止されている
スマホホルダーの取り付け位置については、思わぬ落とし穴になりやすいポイントです。詳しくはこちらの記事で解説しています。
安全装備・内装の取り外し規制
見た目や快適さを重視してシートまわりをカスタムする際も、外してはいけない安全装備があることを知っておきましょう。
- 運転席や助手席のヘッドレストの取り外しは違法
- 貨物車の突入防止装置の取り外しも違法
- 社外品のフルバケットシートに交換する場合、背面がむき出しであればシートバックプロテクターの装着が必須

安全性に直結する部分だからこそ、見た目の変化だけで判断せず、必要な装備が揃っているかどうかを確認しておくことが大切です。
最低地上高が基準内か自分で確認する方法
車高を下げるカスタムをしている場合、自分の車が9cm以上の地上高を保てているか気になるところですよね。専用の工具がなくても、メジャー1本あれば自宅でセルフチェックすることができます。
正確に測るための手順を順番に見ていきましょう。
- 車内に人や荷物を載せていない、空車の状態にする
- タイヤの空気圧を、自動車メーカーが指定する規定値に調整する
- 傾斜や凹凸のない、完全に舗装された平坦な場所に車を停める
- 車体の下をのぞき込み、マフラーのタイコ(消音器)やパイプ、サスペンションアームのボルト頭など、地面に最も近い部品を探す
- 特定した最も低い部品から地面までの距離を、メジャーで垂直に測定する
測定するときは、荷物や人を乗せた状態だと車高が沈み、正しい数値が出せません。空車・規定空気圧という条件をそろえてから測ることが、正確なチェックの第一歩になります。
ワンポイント
マフラーのタイコ部分は左右で高さが異なることがあります。左右どちらも測定して、より低い方の数値を基準にすると安心です。
測定した数値が9cmを下回っていた場合は、そのままでは保安基準に適合しない状態です。

車高調(サスペンション)が付いている車であれば、シートの位置を操作して9cm以上、できれば少し余裕を持たせた数値になるよう車高を引き上げておきましょう。
車検に通った車でも違法改造になることがある
「車検に通ったから、この状態はずっと合法」と思っていませんか。実は、車検はあくまでその時点での状態を確認しているだけで、その後の変化までは保証してくれません。
たとえば、ヘッドライトの色は使っているうちに黄ばみが出て、基準の色から外れてしまうことがあります。また、車検後に別のパーツへ交換したり、新たにカスタムを加えたりすれば、当然そのタイミングで保安基準から外れる可能性も出てきます。
このように、車検に合格した状態から時間が経つことで不適合になってしまうことを、忘れずに意識しておきたいところです。
もし街頭検査などで保安基準に適合しない状態が見つかった場合、いきなり罰則が科されるわけではなく、まずは国から「整備命令」が出されます。この命令が出された場合の流れは、次のようになります。
- 整備命令が発令され、期限内に保安基準に適合させる整備を行うよう求められる
- 命令に従わない場合、車の使用停止命令の対象になる
- それでも改善しない場合、50万円以下の罰金が科される可能性がある

車検に通った瞬間がゴールではなく、そこからも状態を保ち続けることが大切だと考えると、日頃のちょっとした点検にも自然と目が向くようになりますよ。
合法範囲を超える改造をしたい場合の対処法
ここまで紹介してきた基準を超えるような改造をしたい場合でも、諦める必要はありません。決められた手続きを踏めば、合法的にカスタムを楽しむ方法もあります。
車のサイズや乗車定員など、保安基準で定められた許容範囲を超える変更を行う場合は、管轄の運輸支局で「構造変更申請(構造変更検査)」という手続きを行う必要があります。この検査に合格すれば、変更後の状態が正式に登録され、公道を走行できる合法車両として扱われるようになります。
ただし、構造変更申請には書類の準備や検査の予約など、いくつかのステップが必要になるため、詳しい手続きの流れは別の機会に詳しく紹介したいと思います。
もう一つ知っておきたいのが、保安基準を満たしている合法な改造であっても、ディーラーなどの指定工場では入庫を断られることがあるという点です。これは違法かどうかとは別の話で、工場側が独自の社内ルールとして、監査リスクを避けるために改造車の受け入れを制限しているケースがあるためです。一方で、陸運支局や民間の車検場では保安基準への適合だけを確認するため、同じ改造車でも対応が分かれることがあります。
「合法のはずなのに整備を断られた」という状況に直面した場合の理由や対策について、こちらの記事で詳しく解説しています。
よくある質問
-
Q前の所有者が行った違法改造でも、今の自分が罰せられますか?
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A可能性はあります。整備命令や使用停止命令は、改造した本人ではなく現在の使用者に対して出されるためです。中古車を購入する際は、外装やマフラーなどに保安基準を満たさない箇所がないか、購入前に一度チェックしておくと安心です。
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Q通販サイトで「保安基準適合」と表示されているパーツなら安心して取り付けられますか?
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A表示だけで判断せず、実際に認証プレートが付いているかどうかまで確認することをおすすめします。とくにマフラーの場合は、JASMA認定などの性能等確認済プレートの有無が、車検時の判断材料になります。表示と実物が一致しているか、購入時にあわせて確認しておきましょう。
-
Q窓ガラスのフィルムの透過率は自分で確認できますか?
-
A市販の可視光線透過率測定器を使えば、自宅である程度の確認は可能です。ただし正式な合否は車検場や街頭検査での計測結果によって判断されるため、数値がぎりぎりの場合は施工店に相談してから貼るかどうかを決めると失敗が少なくなります。











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