「ホンダって、EVに全部振り切るんじゃなかったの?」
最近ニュースを見て、そう思った方も多いかもしれません。2021年に“脱エンジン”を掲げたはずのホンダが、ここにきてハイブリッド強化へと舵を切っています。
EVがダメになったの?
ハイブリッドに逆戻り?
今クルマを買うなら、どっちを選べばいいの?
このあたり、正直ちょっとモヤっとしますよね。
でも実は、今回の動きは「迷走」ではなく、「現実に合わせた再設計」に近いと私は感じています。世界の需要、インフラ事情、価格、そして走りの楽しさ。その全部を見直した結果が、次世代ハイブリッド戦略なんです。
この記事では、
- なぜホンダはEV比率を修正したのか
- 次世代e:HEVは何が進化するのか
- 話題の「s+ shift」は本当に意味があるのか
- 今ハイブリッドを選んでも後悔しないのか
こうした疑問を、順番に整理していきます。
初心者の方には「仕組みがちゃんと分かる」ことを。
中級者以上の方には「構造や判断軸まで納得できる」ことを。
そしてクルマ選びで迷っている人には「自分で判断できる基準」を持ち帰ってもらえたら嬉しいです。
エンジンは本当に終わるのか。
それとも、まだ進化の途中なのか。
一緒に、冷静に整理していきましょう🙂
結論:ホンダは“EV撤退”ではなく“最適解へ修正”した
まず一番大事なところからお話しします。
ホンダはEVをやめたわけではありません。
方向転換というより、「現実に合わせたバランス調整」です。
もともとホンダは、2040年までに新車販売をすべてEVとFCVにする方針を掲げていました。しかし、ここ数年で見えてきたのは、世界中が一気にEVへ移行するほど単純ではない、という現実です。
- 地域によって充電インフラの整備状況が大きく違う
- 電気代や車両価格の問題がある
- 寒冷地や長距離利用では課題も残る
そこでホンダは、2030年のEV・FCV販売比率目標を従来の30%から20%へ修正しました。その一方で、同年に世界販売360万台のうち約220万台をハイブリッド車にするという計画を打ち出しています(※いずれも発表時点の目標値)。
ここで誤解してほしくないのは、「EVが失敗したからハイブリッドに戻った」という単純な話ではないということです。
むしろ、
- EVは将来の本命
- ハイブリッドは“今の最適解”
という位置づけに近いと考えるほうが自然です。
たとえば、こんな判断基準があります。
| 利用環境 | 向いている選択 |
|---|---|
| 自宅に充電設備あり・近距離中心 | EVが有利 |
| 長距離移動が多い・寒冷地 | ハイブリッドが現実的 |
| 価格バランス重視 | ハイブリッドが安定 |
つまりホンダは、「理想」よりも「現実の使われ方」を優先したわけです。
そしてもうひとつ重要なのは、ハイブリッドを“つなぎ”として扱っていない点です。今回の戦略は、エンジンと電動技術をさらに磨き込む、積極的な進化路線なんです。

ここから先は、その中身――次世代e:HEVがどう変わるのかを、順番に見ていきましょう。
EV一本化はなぜ修正されたのか?
では、なぜホンダはEV比率を修正したのでしょうか。
ここを感情で考えると「やっぱりEVは無理だったの?」となりがちですが、実際はもっと冷静な理由です。ポイントは市場の現実です。
EV需要の現実とインフラ問題
EVは間違いなく未来の中心技術です。ただし、世界中が同じスピードで進んでいるわけではありません。
- 都市部と地方で充電環境に大きな差がある
- 集合住宅では自宅充電が難しいケースが多い
- 寒冷地では航続距離が大きく低下する
- 車両価格がまだ高い
たとえば「戸建てで通勤往復20km」という使い方ならEVはかなり相性がいいです。でも「月に何度も長距離移動する」「マンション住まい」という条件だと、一気にハードルが上がります。
この“利用環境のばらつき”が、EV一本化を難しくしている最大の理由です。
ハイブリッドが“今ちょうどいい”理由
一方でハイブリッドはどうでしょうか。
- 給油インフラはすでに完成している
- 市街地ではモーター走行で高効率
- 高速道路ではエンジン駆動で安定
- EVより価格が抑えられる
つまり、どんな地域でも平均点が高いのがハイブリッドです。
私はよく「万能型」と表現します。突出した特性はなくても、大きな弱点もない。だから世界全体で見ると、まだまだ需要が強いんですね。
ここで大事な線引きをしておきます。
EV減速 = EV失敗 ではありません。
正確には、
- EVは将来の主軸
- ハイブリッドは現在の最適解
という時間軸の違いです。
ホンダはこの「今」と「未来」のバランスを取り直した、というのが今回の戦略修正の本質なんです。

では次に、その“今の主役”であるe:HEVの構造を、きちんと整理していきましょう。
e:HEVはどんな構造?シリーズと何が違う?
ここからは、ホンダのハイブリッド「e:HEV」の中身を整理していきます。
なんとなく「ハイブリッド=エンジンとモーターが両方動くクルマ」というイメージはあると思います。でも実は、メーカーごとに中身はかなり違います。
まず押さえておきたいのは、e:HEVは2モーター方式だということです。
基本は“モーター主役型”
e:HEVは、低速〜中速域ではほとんどモーターで走ります。
- 発進はモーターのみ
- 市街地走行も基本はモーター駆動
- エンジンは主に発電担当
つまり構造的にはモーター主役型なんですね。
エンジンは裏方で発電機を回し、その電気でモーターを動かす。これがいわゆる「シリーズハイブリッド」に近い動きです。
高速域ではエンジンが“直結”する
ただし、ここがホンダの特徴です。
高速走行になると、モーターよりもエンジンのほうが効率が良くなる領域があります。そのときは、エンジンが直接タイヤを駆動します。
- 高速巡航ではエンジン直結
- 駆動ロスを減らす設計
- 燃費と安定性を両立
このためe:HEVは、シリーズ+パラレルの性質を併せ持つ方式と言われます。
ここが誤解されやすいポイントです。
「シリーズハイブリッド=常にエンジンは発電専用」ではありません。
e:HEVは状況に応じて役割を切り替える“賢い構造”なんです。
他社方式との違いはどこ?
一般的に日産のe-POWERはエンジンを発電専用として使うシリーズ方式です(※公表資料に基づく一般的な説明)。
一方でホンダe:HEVは、
| 比較軸 | e:HEV | シリーズ専用型 |
|---|---|---|
| 低速域 | モーター駆動 | モーター駆動 |
| 高速域 | エンジン直結あり | モーター駆動 |
| 効率の狙い | 領域別最適化 | 電動走行重視 |
つまりe:HEVは「状況ごとに効率がいいほうを選ぶ」設計なんですね。
ここで混同しやすい概念も整理しておきましょう。
ストロングハイブリッドとマイルドハイブリッドは別物です。
e:HEVはストロングハイブリッドに分類されます。モーター単独でしっかり走れるタイプです。
詳しい違いはこちらで整理しています。
構造を正しく理解すると、「なんとなくすごい」から「なぜ効率がいいのか分かる」に変わります。

次は、このe:HEVが“体感的にどう進化するのか”――話題のs+ shiftを見ていきましょう。
擬似変速は“演出”なのか“進化”なのか?
ここからが今回の技術的な目玉、「s+ shift(エスプラスシフト)」の話です。
ハイブリッドに乗ったことがある人なら、一度はこう感じたことがあるかもしれません。
- アクセルを踏んだのに、エンジン音だけ先に高くなる
- 車速と回転数が合っていない気がする
- 加速が“滑る”ような感覚がある
これは故障ではありません。ハイブリッド特有の制御によるものです。
特にモーター主体のシステムでは、エンジン回転と車速が必ずしも一致しません。効率を優先すると、どうしても“音と体感のズレ”が生まれるんですね。
ハイブリッド特有の違和感とは何か
従来のエンジン車では、
- 回転数が上がる
- シフトアップする
- 加速が段階的に続く
という流れが自然に連動しています。
ところがハイブリッドでは、発電のためにエンジンが回ることもあります。つまり、加速とは関係なく回転数が上がる場面があるわけです。
これが「違和感」の正体です。
s+ shiftがやっていること
s+ shiftは、このズレを制御で補正する仕組みです。
- 加速時に擬似的な“段付き”を作る
- 減速時には疑似シフトダウンを演出
- タコメーター表示とエンジン音を同期
ポイントは「実際にギアがあるわけではない」ということです。
内部的には電子制御でトルクと回転を細かく調整しています。その結果、体感としてはAT車のような自然な変速フィールになります。
ここで大切な線引きをしておきます。
演出=偽物ではありません。
クルマは“効率”だけでなく“感覚”も重要です。視覚・聴覚・加速Gが一致すると、ドライバーは安心します。逆に一致しないと不安になります。
s+ shiftは、その心理的な違和感を減らすための技術です。
判断基準はここを見る
実際に試乗するときは、次のポイントを意識してみてください。
- 加速中、回転の上がり方が自然か
- アクセルオフ時に減速が唐突でないか
- エンジン始動時に不快なショックがないか
この3つがスムーズなら、制御はうまく働いています。
ハイブリッドは効率の塊ですが、同時に“フィーリングとの戦い”でもあります。ホンダはそこを本気で詰めてきた、というわけですね。

次は、エンジンそのものがどう進化するのかを見ていきましょう。
【途中要約】ここまでの整理
いったんここで、流れを整理しておきます。
- ホンダはEVをやめたわけではなく、販売比率を現実に合わせて修正した
- ハイブリッドは“つなぎ”ではなく、今の最適解として強化されている
- e:HEVはモーター主役型だが、高速域ではエンジン直結も使うハイブリッド構造
- s+ shiftは効率を落とさず、体感の違和感を減らす制御技術
つまり今回のテーマは、「EVかエンジンか」という二択の話ではありません。
どうやって効率と楽しさを両立させるか、その進化の方向性の話なんです。
ここまでは“制御”の進化を見てきました。
次は、エンジンそのものの中身がどう変わるのかを掘り下げていきます。
直噴化とタンブル流強化の意味
ここからは、エンジンそのものの進化についてです。
「ハイブリッドなのにエンジンを強化するの?」と思うかもしれません。でも実はここが重要なんです。モーター主体とはいえ、発電や高速巡航ではエンジン効率がそのまま燃費に直結します。
次世代の直列4気筒エンジンでは、
- すべて直噴化
- ピストン形状の最適化
- タンブル流の強化
- 細部まで軽量化
という改良が行われます。
タンブル流とは?
タンブル流とは、シリンダー内で発生する縦方向の渦状の空気の流れのことです。
吸い込まれた空気がただ入るだけでなく、強い渦を作ることで、燃料としっかり混ざります。
混ざり方が良くなるとどうなるか。
- 燃焼が速くなる
- 無駄な濃い燃料を使わなくて済む
- 熱効率が向上する
結果として、パワーと燃費の両立につながります。
今回ホンダは、ピストン上面の形状を見直すことで、このタンブル流を加速・保持できるよう改良しています。これは地味に見えて、かなり本質的な進化です。
直噴化のメリットと注意点
次世代エンジンは直噴仕様になります。
ポート噴射は吸気ポートで燃料を吹きますが、直噴はシリンダー内に直接噴射します。これにより、より細かい燃料制御が可能になります。
メリットは明確です。
- 燃費向上
- 出力向上
- 排出ガスの最適化
ただし、直噴は万能ではありません。
一般論として、燃焼室内のカーボン堆積リスクが増える可能性があります。そのため、エンジンオイル管理や定期メンテナンスはより重要になります。
オイル選びについては、こちらでも詳しく解説しています。
ここでの線引きも大事です。
直噴=壊れやすいではありません。
正しく設計され、適切に管理されていれば、高効率化の大きな武器になります。
ハイブリッドだからこそ、エンジンの質を上げる。
この姿勢が、今回の戦略の核心部分なんです。

次は、V6エンジン追加の意味を見ていきましょう。
大型SUV対応は“パワー自慢”ではない
次世代e:HEVには、新たにV6エンジンが組み合わされる計画が示されています。
ここだけを見ると「時代に逆行してない?」「排気量アップって燃費悪化では?」と感じる方もいるかもしれません。
でも、このV6追加は“パワー自慢”の話ではありません。
大型車に最適な電動化を実現するための選択なんです。
なぜ直4では足りないのか?
北米市場では、
- 3列シートSUV
- 牽引用途(トレーラー)
- 高速巡航時間が長い
といった使用環境が一般的です。
車重が2トンを超えるモデルでは、発電効率や巡航効率の観点から、排気量に余裕があるほうが合理的なケースがあります。
無理に小排気量エンジンで引っ張るより、
適切な排気量で低回転・高効率を狙うほうが、結果として燃費も安定します。
V6=燃費悪化とは限らない理由
ここが誤解されやすいポイントです。
排気量が大きい=常にガソリンを大量消費、ではありません。
重要なのは、
- どの回転域で使うか
- どの負荷領域で使うか
- モーターとの役割分担
です。
ハイブリッドの場合、エンジンは常に全力で回るわけではありません。
効率の良い回転域だけを使う設計が可能です。
つまりV6追加は、
- 大型車でもストレスなく走れる
- 高速巡航で無理をしない
- 静粛性(NVH)を向上させる
という“総合バランス改善”のための選択です。
排気量=時代遅れという思い込み
電動化の時代になると、「小排気量こそ正義」という空気が強くなります。
でも実際は、車重や用途によって最適解は変わります。
例えば軽量なコンパクトカーと、3列SUVを同じエンジン思想で設計するのは無理がありますよね。
今回のV6 e:HEVは、「大型車でもハイブリッドを主役にする」ための布石とも言えます。
排気量アップは後退ではなく、
適材適所の最適化なんです。

次は、プラットフォーム軽量化がどれほど重要かを見ていきましょう。
軽量化は燃費だけの話ではない
エンジンが進化し、V6まで用意される。
でも実は、それと同じくらい重要なのがプラットフォームの軽量化です。
ホンダは中型車用の新プラットフォームで、現行比約90kgの軽量化を目指しています。
90kgと聞くとピンとこないかもしれませんが、成人男性1人分に近い重さです。それが常に車に積まれていると考えると、かなり大きな差ですよね。
軽くなると何が変わるのか?
まず分かりやすいのは燃費です。
- 発進時に必要なエネルギーが減る
- 加速時の負担が小さくなる
- ブレーキで止めるエネルギーも減る
つまり、モーターもエンジンも“楽に仕事ができる”状態になります。
でも軽量化のメリットはそれだけではありません。
走りと安全にも影響する
- ハンドリングが軽快になる
- タイヤやブレーキの負担が減る
- サスペンションの動きが正確になる
重い車は安定しますが、同時に慣性も大きくなります。軽くなることで、クルマはより“思った通りに動く”ようになります。
ただし、ここも誤解しやすいポイントです。
軽い=安全性が低いではありません。
現代の軽量化は、単純に薄くするわけではなく、
- 高張力鋼板の活用
- 構造最適化
- 不要部位の削減
といった設計思想によるものです。
重量と性能の関係については、こちらでも詳しく解説しています。
エンジン効率の向上、モーター制御の進化、そして軽量化。
この3つが組み合わさって、初めて次世代e:HEVは完成形に近づきます。

では最後に、実際の購入判断をどう考えればいいのかを整理していきましょう。
今ハイブリッドを買っても大丈夫?判断基準を整理する
ここまで読んで、「理屈は分かったけど、結局どう判断すればいいの?」と感じている方もいると思います。
クルマ選びで大切なのは、“未来の理想”ではなく自分の使い方との相性です。
まずは利用環境を整理する
次の3つをチェックしてみてください。
- ① 自宅に充電設備はあるか?
- ② 月に何回長距離移動するか?
- ③ 駐車環境は屋外か屋内か?
✔ 自宅充電が可能で近距離中心
→ EVのメリットが最大化されます。
✔ 長距離移動が多い/寒冷地
→ ハイブリッドの安定感が有利です。
✔ 価格バランスを重視
→ ハイブリッドは依然として堅実な選択肢です。
今の段階では、ハイブリッドは“守りの選択”ではありません。
効率と安心感のバランスが取れた、かなり合理的な選択です。
電子制御が増える時代の注意点
次世代e:HEVは高度な電子制御の塊です。
そのため、トラブル時に「何が起きているか」を把握できる環境があると安心です。
例えば、OBD2診断機があれば、警告灯の原因コードを自分で確認できます。
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もちろん、これで全てが分かるわけではありません。
あくまで簡易診断用ですが、警告灯が一瞬ついて消えた場合などの判断材料にはなります。
実燃費の目安はどれくらい?カタログ値との違いも整理する
燃費の話になると、どうしてもカタログ値(WLTCモード)が先に出てきます。
でも実際に気になるのは、普段の運転でどれくらい走るのかですよね。
車種や使い方によって差はありますが、e:HEVクラスの一般的なハイブリッド車では、おおよそ次のようなレンジに収まることが多いです。
| 走行環境 | 実燃費の目安 |
|---|---|
| 市街地中心 | 20〜25km/L前後 |
| 郊外・流れの良い道路 | 22〜26km/L前後 |
| 高速道路中心 | 18〜22km/L前後 |
※あくまで一般的な同クラス車両の参考レンジです。車種・タイヤサイズ・運転方法で変わります。
ここでポイントになるのが、高速燃費が極端に落ちにくいという点です。
モーター主体のハイブリッドは市街地で強く、高速では不利になる傾向があります。しかしe:HEVは高速域でエンジン直結を使うため、燃費の落ち込みが比較的穏やかです。
では大型SUV向けV6ハイブリッドはどうか。
まだ正式な数値は出ていませんが、一般的な同クラスのハイブリッドSUVでは、
- 市街地:15〜18km/L前後
- 高速:14〜17km/L前後
というレンジに収まるケースが多いです。
ここで注意したいのが、WLTCモードとのズレです。
- 短距離移動が多い
- 冬場で暖房を多用する
- 急加速が多い
こうした条件では、実燃費はカタログ値より10〜20%程度低くなることもあります。
逆に、流れの良い郊外路を一定速度で走る場合は、カタログ値に近づくこともあります。
大切なのは、「カタログ値そのもの」ではなく、自分の使い方に近い環境でのレンジを見ることです。
燃費は技術だけでなく、運転スタイルとの相性で決まります。
最終的な判断軸はここ
私はいつもこう考えています。
- 燃費だけで選ばない
- 環境性能だけで選ばない
- “使い続けやすいか”で選ぶ
クルマは数年単位で付き合う道具です。
毎日のストレスが少ないかどうかが、一番重要なんです。

今のハイブリッドは、性能的にも成熟しています。
少なくとも「時代遅れを選ぶ」ことにはなりません。
よくある誤解とその線引き
ここまで読んでくださった方の中にも、まだ少し引っかかる部分があるかもしれません。
クルマの技術は進化が速い分、イメージだけが先行しやすいんです。
ここで一度、よくある誤解を整理しておきましょう。
① EV減速=EV失敗?
これは違います。
今回の修正は「EVがダメだった」という話ではなく、市場のペースに合わせた調整です。
- 地域差が大きい
- インフラ整備が追いついていない地域がある
- 価格面のハードルが残る
EVは将来の柱であることに変わりありません。ただ、“今すぐ全世界で100%”は現実的ではなかった、というだけです。
② 擬似変速=ただのごまかし?
s+ shiftについて、「音でごまかしているだけでは?」という声もあります。
でも実際は、
- トルク制御の最適化
- 減速時の回転同期
- 視覚・聴覚・体感の一致
といった制御がセットになっています。
“演出”は入っていますが、それはドライバーの違和感を減らすための設計です。
単なるスピーカー音ではありません。
③ 直噴=壊れやすい?
直噴エンジンはカーボン堆積のリスクがある、という話を聞いたことがあるかもしれません。
確かに一般論として、ポート噴射より管理は重要になります。
しかし、
- 設計の進化
- 燃焼制御の高度化
- オイル品質の向上
により、単純に「壊れやすい」と言える時代ではありません。
重要なのは、定期的なオイル管理と点検です。
④ 排気量アップ=時代逆行?
V6追加を見て「ダウンサイジングの流れと逆では?」と思う人もいます。
でも、大型SUVに小排気量を無理に積むほうが効率が悪い場合もあります。
排気量は善悪ではなく、用途との適合性の問題です。
⑤ ハイブリッドはもう古い技術?
これも誤解です。
むしろ今のハイブリッドは、
- 高度な電子制御
- 効率的な燃焼技術
- 軽量プラットフォーム
が融合した、かなり完成度の高い技術です。
“古いから安定している”のではなく、
“成熟して進化している”状態に近いと言えます。

技術の進化を正しく見るには、「イメージ」と「構造」を分けて考えることが大切です。
まとめ:ホンダは“エンジンを捨てた”のではなく、“磨き直した”
今回のホンダの戦略修正は、「EVをあきらめた」という単純な話ではありません。
むしろ私は、こう感じています。
エンジンを捨てるのではなく、もう一度本気で磨き直した。
整理すると、今回のポイントは次の通りです。
- EV比率の修正は、市場の現実に合わせたバランス調整
- e:HEVはモーター主役型+高速域エンジン直結という合理設計
- s+ shiftで“効率とフィーリング”の両立を狙う
- 直噴化・タンブル流強化で燃焼効率をさらに高める
- V6追加は大型車向けの最適解
- 90kg軽量化でトータル性能を底上げ
つまり方向性は一貫しています。
電動化を進めながら、エンジンも極限まで効率化する。
「EVかエンジンか」という対立構造ではなく、
「どうやって無駄を減らすか」という技術の積み重ねです。
私は個人的に、今回の動きはとてもホンダらしいと思いました。
エンジン屋としてのプライドを残しつつ、現実的な市場に対応する。
理想だけで突っ走らない姿勢は、長くクルマに乗るユーザーにとって安心材料でもあります。
今ハイブリッドを選ぶことは、決して“妥協”ではありません。
むしろ今の時代では、かなり合理的な選択肢のひとつです。
大切なのは、「未来の正解」を探すことではなく、
自分の使い方に合った正解を選ぶこと。
技術は進化し続けます。でも、クルマは日常の道具です。
そのバランスを見極められれば、選択に迷いは少なくなるはずです。
参考文献
よくある質問
- Qe:HEVはシリーズハイブリッドですか?
- A
基本構造はシリーズに近いですが、完全なシリーズ専用ではありません。
低速〜中速域ではエンジンが発電し、モーターで走行します。しかし高速巡航ではエンジンが直接タイヤを駆動します。
つまり「シリーズ寄りのハイブリッド+高速直結機構」という理解が正確です。
常にモーターだけで走るわけではない点が、シリーズ専用型との大きな違いです。
- QV6ハイブリッドは燃費が悪くなりませんか?
- A
排気量が増えたからといって、単純に燃費が悪くなるとは限りません。
重要なのは、どの回転域で使うかです。
- 低回転・高効率領域を中心に使う
- モーターと役割分担する
- 無理な高回転を避ける
こうした制御ができるのがハイブリッドの強みです。
大型車では、小排気量を無理に回すよりも効率的になるケースもあります。
- Qs+ shiftは故障リスクを増やしませんか?
- A
s+ shiftは機械的なギアを増やす仕組みではなく、基本的に制御ソフトウェアによる演出です。
そのため、構造部品が増えるわけではありません。
もちろん電子制御は高度化しますが、現在の車両はもともと多くの制御を統合しています。
定期点検と適切なメンテナンスを行っていれば、特別にリスクが跳ね上がるとは考えにくいです。








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